
世界中の国境警備で数多く使われていて、日本では官公庁の船やヘリで遭難対応にも使用され、「見つけるプロ」から厚い信頼を受けているのがフジノンの双眼鏡です。今回紹介するのは、その双眼鏡の遺伝子を受け継ぎながら、バードウォッチャーにも使いやすい高倍率の最新防振双眼鏡です。遠くの干潟の鳥から、高い木の梢にとまっている鳥まで、野鳥をクリアに観察できます。使い勝手から見え味まで詳細に、都立東京港野鳥公園担当レンジャーが、実際にフィールドで使用してレポートします。


TS-L 1640
TS-L 2040
高倍率と機動性を両立する双眼鏡

スコープ+三脚よりも圧倒的に軽量で持ち運びのしやすい本機は、高倍率と機動性を両立できる素晴らしい双眼鏡です。干潟や海岸沿いなどの開けた場所でのカモメ類やカモ類の観察も、16倍、20倍という高倍率でしっかり観察することができました。また三脚を必要としないため、広い範囲を移動しながらの野鳥観察も身軽に楽しめます。色にじみもなくクリアに見えるので、長時間覗いていても、疲れることなく使用できます。
カモ類やシギ・チドリ類、草地の小鳥まで識別
観察拠点である東京港野鳥公園のネイチャーセンターからオオタカやノスリなどの猛禽類がよくとまる樹林まで200m以上あり、種類を識別するためにはフィールドスコープが欠かせません。しかし、この双眼鏡なら腹部の横斑までしっかりと確認でき、オオタカも簡単に識別することができました。
カモ類の観察では生殖羽のオスのカモであれば、数百メートルほど離れていても充分識別することができました。ネイチャーセンターから、前浜干潟に浮いているキンクロハジロとスズガモの背面の色味の違いまでしっかり識別できました。
ヨシ原や草地などの開けた場所では、小鳥類の観察にも性能を発揮します。高倍率のため対象を捉えるには慣れが必要ですが、ヨシ原で採食しているオオジュリンやメジロなどを識別することができ、草地におりてきているツグミやシロハラにも近づくことなく観察できました。
シギやチドリ類の観察では、離れた干潟を歩くイソシギの側面の白色部も識別できました。また、ヨシ原の根本で採食しているタシギも見つけることができました。高倍率ながら視野の広さもあり、この1台で捜索から識別までまかなえます。



写真は16倍(TS-L 1640)とスマートフォンで撮影
今回、本機とスマートフォンを使って動画を撮影してみました。高い防振性能のおかげで、手持ちでも安定した動画が撮影できます。また片方の接眼レンズにスマートフォンを装着しても、もう片方の接眼レンズを覗けるので被写体を捉えやすく、動いている野鳥もしっかり追いかけながら撮影することができました。
※写真や動画はスマートフォンで撮影しているため、実際の見え方より粗く見える場合がございます。
動画には冒頭に揺れる映像が含まれます。
「使ってみました!」東京港野鳥公園レンジャーの感想

レンジャー
40口径の大型対物レンズのおかげで、像は明るくとても見やすく手振れもしっかりおさえられ、目標をしっかりととらえることができました。ボディの凹凸が少なく、カバンへの出し入れがしやすく、持ち運びにも便利でした。

ボディは大きめですが、凹凸がほとんどないデザインのおかげで女性でも楽に握ることができます。これからの季節は、広大な干潟にやってくるシギ・チドリ類の観察でも実力を発揮してくれると思います。

小さな点にしか見えない上空のトビも、羽の色、模様がはっきりと見え、まるで目の前にいるような立体感がありました。また近くの鳥を見ると、羽の細部までも浮かび上がって見え、通常の双眼鏡では味わえない迫力がありました。
三脚いらず、単4電池で使えるのも魅力
本機は単4電池で動作しており、電池の入手が容易なのはとても心強く、工具なしで交換できるのはうれしいポイントです。さらにニッケル水素電池も使えるため、環境への配慮と電池代の節約につながります。また公共交通機関での遠征時にフィールドスコープ+三脚という大きな荷物を減らせて、これまで以上に気軽に遠くまで野鳥観察に行けるのも本機の魅力だと感じました。


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文:青木泰成(日本野鳥の会 都立東京港野鳥公園担当レンジャー)
FUJINON TECHNO-STABI
TS-L 1640/TS-L 2040
16倍(TS-L 1640)と20倍(TS-L 2040)の高倍率2機種。EDレンズ搭載の優れた光学系と強力な防振性能により、遠方の対象物を明るく鮮明に観察できる防振双眼鏡。対物レンズは40mmの大口径ながら、約856g(TS-L 1640)、約853g(TS-L 2040)の小型軽量化を実現。連続30時間の電池駆動と、IPX7(1m~30min)の防水性能を実現