野鳥は遠くに行かなくても、出会うことができます。バードウォッチングを楽しむには、まずは「身近な場所で、身近な鳥から」がよいでしょう。
身近な野鳥
スズメ、シジュウカラ、メジロ、キジバトなど1種類ずつじっくりと観察すると、どんな体の色をしていて、どんな声で鳴くか、何を食べるか、どうやって飛ぶかなどいろいろな発見があります。いつも見ているカラスやスズメも、どんな鳥か意外と知らないものです。
家の近所の身近な場所、例えば公園、神社やお寺、学校の校庭、池や湖、川などに出かけてみましょう。野鳥がいることに1回気がつけば、他の鳥も見つけることができます。
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季節の野鳥
バードウォッチングの楽しみの一つに、野鳥を通して季節の変化を感じることができることがあります。
春~初夏
多くの小鳥は木々の芽が開き、若葉が広がる春に、繁殖の季節を迎えます。
ウグイスは「ホーホケキョ」。
シジュウカラは「ツピー、ツピー」。
ヒバリは「ピーチュル、ピーチュル」と飛びながら複雑な声でさえずりはじめます。
さえずりは、オスがメスに対して行う求愛行動です。つがいになると、産卵と子育てのために巣をつくり、縄張りを守る役割も果たします。
この季節、ツバメやオオルリなどの「夏鳥」が、東南アジアなど南方から日本に渡ってきます。日本では春から夏にかけて、湿潤な気候になり、緑が萌え、毛虫やバッタといった高タンパクで栄養価の高い食べ物が豊富にあります。
4月~5月は、樹木の多い公園や緑地では、渡り途中のキビタキなどの小鳥たちに出会う機会もあるでしょう。
秋~冬(11月~3月)
公園や雑木林で聞こえる「キィー キィー」「キチキチキチ・・・」。
モズの声は、秋の訪れを教えてくれます。声がするほうを探すと、高い木のてっぺんなど、目立つところにとまって鳴いている姿を見ることができます。この鳴き声は、冬の縄張りを守るためのもので、「モズの高鳴き」と呼ばれています。
またシベリアなどの寒冷地では、冬になると餌場が凍ってしまって食べ物がとれなくなるため、「冬鳥」といわれるカモやハクチョウのなかまは、水辺が凍結せず、食べ物がとれる日本に渡ってきます。近くの川や池に行ってみると、カモたちに出会えるかもしれません。
その年の気候や繁殖期の状況によって、渡ってくる鳥の種類や数が少なくなることがあります。命の危険を冒してまで渡らなくても、食べ物が確保できている状況にあると考えられるためです。
(本ページの写真:掛下尚一郎)