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バードウォッチングを始めよう

 
ひなこのお散歩鳥講座
NOTE68 12月 声変わりはいつ?
師も走ると言われる年末、人間たちはあわただしくなりますが、鳥たちの世界はどうでしょう? いつもの公園の池で、今日はカモやカモメの声を気にしてみました。

そろそろ求愛?

NOTE68 12月 声変わりはいつ?
イラスト/小島早恵
ひなこ(以下ひ)そろそろカモの求愛シーズンよね?
安西(以下安)オスの衣替えが完了したマガモやオシドリでは求愛が始まってる。でも、中にはまだメスにもてそうもないオスもいるよ。ほら、あそこのオスとか…。
あのオナガガモのオスのこと? もう、胸は真っ白になってるよ。
尾羽を見てごらん。まだ、長くのびてない。
ほんとだ、よく見ればいろんな段階のオスがいる。若いのか、奥手なのかわからないけど、のんびりしてるのもいるんだね。
カモのオスの求愛行動では、首と腰を上げるポーズがよく見られる。衣替えした衣装が目立つようにね。例えばコガモではお尻の黄色い三角模様、オナガガモでは長い尾羽が目立つんだ。
つまり、オナガガモは尾羽がのびないとメスに選ばれないってことね。
そう。のんびるしてるオスも年末年始の頃には尾羽がのびて、求愛行動がよく見られるようになると思うよ。

カモの声さまざま

そろそろ求愛が始まるというのは、声でも感じるよ。
声? そういえば、渡ってきた頃のオナガガモはあまり鳴かなかったわ。
今は、ほら、オスがプルッ、プルッて鳴くようになった。コガモやヒドリガモもオスがよく鳴くようになってるはず。
『CD声でわかる水辺の鳥・北や南の鳥』(*1)で聞いたんだけど、カルガモの求愛の声って、かわいいのね。
あの笛のような声は求愛行動の瞬間の声で、マガモやオナガガモも出すんだよ。
カルガモのオスは衣替えしないから、特別にかわいい声を出すってわけじゃないんだ。
求愛行動や交尾など、場面ごとの声があるんだけど、案外知られていないようだ。
水辺の鳥って、姿を見やすいからあまり声を気にかけてなかったわ。
初夏の森のように鳥の姿が見えにくい季節や場所では声を気にせざるを得ないけど、耳で楽しむバードウォッチングは水辺でも、冬でもOKさ。
そういえば細い声も聞こえるけど、これはメスが鳴いてるの?
シーイン、シーインってのばす声のこと?これもオナガガモのオスの声。寒くなると聞かれるようになるから何か意味があるんだと思う。ほかにもコココッとかグッグッと聞こえるオスもメスも出す声とか、クェーっていうメスがよく出す声もあるんだよ。

若鳥を見分ける
NOTE68 12月 声変わりはいつ?
イラスト/加藤明子


わー、あそこ見て、ユリちゃんがいっぱい飛んでるよ。
エサをやる人が増えて、ユリカモメが増えてきたんだ。
あれ、カモのエサを横取りしてるのがいる。ユリちゃんは姿はきれいだけど意地悪な鳥よね、声もきたないし。
確かにカモメの仲間は雑食性で気が強いけど、人が増やしてるとしたらカモメが悪いとも言えないんじゃない? それによく聞いててごらん。しわがれ声ばかりではないはずだよ。
ユリカモメはにごった声って図鑑にも書いてあるじゃない…。あれれ、でもにごってない声も聞こえるわ。
図鑑の絵を見てごらん。カモメの仲間では「成鳥」の他に「若鳥」の姿も載ってるでしょ。
どれどれ、本当だ。ユリカモメの若鳥は、翼にまだら模様があって、尾羽に黒い筋が描いてある。
くちばしや足の色も成鳥と違うよ。
なるほど、まだら模様があるユリカモメはくちばしがあんまり赤くないわ。
カモや小鳥の場合、今年の春に生まれた鳥は秋には成鳥と見分けがつかなくなるほど成長が早い(*2)。何しろ翌年の春まで生きのびたら繁殖できるんだから。
1年で大人になっちゃうわけね。
カモメのほかにもガンやハクチョウ、ツルやワシなどの大きな鳥に多いんだけど、大人になるまで2年以上かかるものもいる。小鳥やカモよりは生存率が高く、子どもの数が少ないかわりに成長に時間がかかるってことかな。そのような鳥では、見分ける上で「若鳥」って呼ばれる段階がある。
ユリカモメはそんなに大きくはないけど、カモメの仲間だから冬でも若鳥が見分けられるってことか。
年をとるとしわがれ声?

さて、にごってない声は「成鳥」と「若鳥」のどっちが出してるかわかる?
えーっと、ギューってこれは成鳥ね。あっ、ピーって声、若鳥が鳴いた。
たぶん、今年生まれのユリカモメはまだ声変わりしていないんだ。
大人になるとしわがれ声になるのかしら? カルガモもヒナの時はピィピィだったのに今は求愛以外はガー、ガーって声でしょ。
そう言われれば、カルガモはいつ声変わりしちゃったんだろうね。ユリカモメの若鳥は北に去る春までに声変りするのか、聞いててみよう。ハクチョウやツルも若鳥はなさけない声なんだけど、春近くなって成鳥のような声を出すのを聞いたことがあるよ。
なさけない声? 聞いてみたいなぁ。
例えば『CD声でわかる水辺の鳥・北や南の鳥』に収録されてるナベヅルではクルルーっていう成鳥の声の中にピィーという声が混じってるよ。
へー、ピィーからクルルーになるんだったら、ツルではしわがれちゃうわけじゃないのね。

企画・文/安西英明(普及室)

※1 『CD声でわかる水辺の鳥・北や南の鳥』 5月に本会が発売した『CD声でわかる山野の鳥』の姉妹編。
※2 小鳥の場合、巣立った後に「幼鳥」として見分けられる段階があるが、夏から秋に羽が抜け替わる(第1回冬羽)と、成鳥に似た姿になるものが多い

注)NOTE61からバードウォッチング案内人研修会のテキスト第3章「バードウォッチングの基礎」に関連して、野鳥の見方、楽しみ方についてのお話です。
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