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バードウォッチングを始めよう

 
ひなこのお散歩鳥講座
NOTE63 6月 見るより聞く?声の聞き分け方
バードウォッチングとは言うけれど、ベテランになると目より耳で野鳥に気づくことが多いんですって。今回は野鳥の声の聞き分け方をご紹介。音楽が苦手でも大丈夫!って安西さんは言うけれど、どんなコツがあるのかな?

早くも子別れ

安西さんとひなこが傘をさしてスズメを見ているイラスト
イラスト/小島早恵
安西(以下安)あのスズメの子、声変わりが始まってる。
ひなこ(以下ひ)えー、そんなことまでわかるの?
だって、さっきチュンとかピって鳴いたよ。
ほっぺの黒い斑点は薄いのに、ヒナのシリッシリッって声じゃなくなったってことね。
ヒナの声は巣立ち後しばらく続くんだけど、子別れ前には親鳥のような声も出すようになるんだ。
巣立ってからどのくらいで親と別れるの?
くわしく調べられてはいないけど、スズメの場合は巣立ってから半月もたたないうちに子別れするらしい。だから5月に巣立ったヒナなら、早くも独立しなくてはならない時期を迎えているはず。
6月には2回目の子育てにとりかかるペアもいるんだもんね。
野鳥の子育ては短期集中で、子だくさんが原則。それで増えすぎないってことは、生きのびるのが少ないからで、僕たちが出会うのは生きのびた一部でしかないってことなんだ。
知ることで気づく
それにしても安西さんは耳がいいのね。
そんなことないよ。
だって鳥の声にすぐ気がつくし、名前や状況まで聞き分けちゃうじゃない。
気にしていると気づくし、慣れや知識で聞き分けられるんだと思うよ。
さっきは、そろそろ声変わりが始まるってことを知ってて、気にしてたわけね。
視力が良くなくても、見つけたり見分けるのが早い人がいるのと同じさ。聞き分けるにも「慣れる、比べる、絞りこむ」がコツと言える。
「絞りこむ」には「どんな鳥がいつ、どこにいるか」を知ってるといいって、前回(本誌5月号、NOTE62)聞いたわね。それじゃあ今ごろこの公園なら…あっ、シジュウカラがさえずってる!
ほら、「いつ、どこで」を気にすることで聞こえてきたでしょ。それに、毎年今ごろここで聞いてるから、慣れることで絞りこめるようになるとも言えるんじゃないかな。
「シジュウカラのさえずりはツーピやツツピの単純なくり返しだからおぼえやすい」って教えてもらってたし。
わかりやすい、おぼえやすい声と思えたら、その声を基準にして比べることでさらにわかるようになるんだよ。
シジュウカラを聞き分ける
声の質 細い声 にごっている さえずりよりすれた声
鳴き方 2〜3音のくり返し 連続音 (同じような音程を続ける) 連続音やのばす声
シジュウカラが細い声で鳴いているイラスト シジュウカラがにごった声で鳴いているイラスト シジュウカラがかすれた声で鳴いているイラスト
さえずり(ラブソングか、なわばり宣言中のオス) 少し警戒している 巣立ち前後のヒナ (子別れ後もシーシーとのばす声は出す)

声を比べる

「比べる」って、鳥の大きさや体型を身近な鳥と比べてみるってことでしょ。声では何を比べるの?
よく高い声、低い声とか言われるけど、同じカッコウの声を聞いても高いと感じる人もいれば低いと思う人もいる。その人の感覚や何を基準にしてるかで違う。
大きな鳥とか小さな鳥とか言われても、実際にどのくらいの大きさなのかがわからないのと同じことね。
例えば、声の質をスズメのチュン、チュンという声を基準に「細い声か、笛に近い声か、かん高い声か、にごった声か、低い声か」などに分けてみる。
ふーん、シジュウカラはどうかな?
巣に近づきすぎたりするとにごった声も出すけど、そのほかはだいたい細い声だと思う。笛に近い声では、ヒヨドリのヒーヨっていう典型的な声があるよね。僕はそれを、笛に近い声のものさしに使ってる。
じゃあ、鳴き方はどう比べるの? 私、音感がないからメロディーがあるさえずりとかおぼえるの苦手。
複雑なさえずりでは、細かい音程を気にしても地域や個体で違いがある。さらに同じ個体でもバリエーションがあるから、表のように大ざっぱな鳴き方、テンポやリズムの特徴、さえずりの長さなどに注目すると比べやすいと思う。
テンポって、早口かのんびりかってこと?さえずりの比較の例の表
例えば、短い節をくり返す鳥で比べてみると、ヒガラのさえずりはシジュウカラより高い声で早いテンポ、ヤマガラは低くてゆっくりといった具合なんだ。
でも、探鳥会で「のんびりさえずってシジュウカラと間違えやすいヒガラもいる」って聞いたよ。
町の中ならヒガラはいないとか、高山ならシジュウカラよりヒガラの可能性が高いとか、環境でも絞れる。でも、声と環境だけで絞りこめないこともあるから、やっぱり声ですぐにわかるとは言えない。だから、慣れるためにもむずかしいのはあとまわしにした方がいいよ。楽しみながら続けてこそ、慣れるんだから。

※1 巣立つ段階で親鳥に近いサイズになっているので、大きさで親子を見分けられないことが多い。スズメの子は色が薄いことで見分けられ、特にほおとあごの黒い模様が薄い
※2 5〜7月にかけて多くの野鳥のヒナが巣立つが、8〜9月には親子関係はなくなるのが一般的(親子が冬まで一緒にすごすツルやハクチョウなど例外もある)
注)NOTE61からバードウォッチング案内人研修会のテキスト第3章「バードウォッチングの基礎」に関連して、野鳥の見方、楽しみ方についてのお話です。聞き分け方については「CD声でわかる山野の鳥」(本会発行、37頁参照)から抜粋して紹介しました。

企画・文/安西英明(普及室)
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