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野鳥の見分け方

 

フィールドガイド日本の野鳥より

その1 野鳥の見方について

 増補改訂版の「はじめに」で、柳生会長に鳥の親しみやすい点を次のように語ってもらいました。「鳥は、恒温動物で、学習能力を持ち、子育てをするなど私たちほ乳類と共通点があります。(中略)さらに、私たち人間と同じように視覚中心でくらしており、色や模様に特徴が多く、嗅覚中心で夜行性、地味な種が多いほ乳類と比べると見分けやすいと言えます。また、昆虫や植物ほど種が多くない点からも、理解しやすい生物と言えるでしょう」
 しかしその一方、高野さんが原著の「野鳥の見分け方」の頁で「いつでも見分けられるものではない」と注意しているので、増補改訂では「野鳥を見つける・見分ける・聞き分けるコツ」とともに、「見分ける難しさ」についても解説しました。
 例えば「野鳥には簡単に見分けられる種と、難しい種がある」「よく似た種がいる場合はいくつものポイントを総合的に検討して類似種の可能性を否定しなくてはならない」。さらに、「同じ種でも雌雄・季節・年齢・亜種や個体差・汚れ具合による違い、変異や交雑(*後述)もありうる。同じ個体でさえ角度や姿勢で違って見えることもある」などと記して、出会った鳥の名がわからない時はどうすればよいかについても随所で触れるようにしました。
 近年、実物を手にして見ても簡単には同定できないような種についても詳しい解説を試みる図鑑や記事があるので、限界に挑むための視点も追記しましたが、初心者も指導者も使えるように、基本的な考え方や調べ方、野鳥の見方のさまざまを示すことに重点を置いています。
例えば、高野さんの図版を活かして「珍しい種や識別が難しい種の記録」、イラストレーターの谷口高司さんに新たな図版をお願いして「行動の見分け方」「古巣・卵・痕跡の見分け方」「羽・幼羽と年齢・鳥の体」という項目を設けました。また、鳥は行動的かつ行動を理解しやすい生物という点もあるので、「野鳥の見分け方」でも次のようにも触れておきました。「種名まで分からなくても野鳥は楽しめるし、季節や行動から、ペア(つがい)やファミリー(親子)を見分けることもできる」「野生では日々瞬間がサバイバルなので、『何をしているのか?』も興味深い」「行動が種や雌雄の識別に役立つこともあるし、くびを上げた状態では警戒していることが多いなど、野鳥を脅かさない観察を心がける上でも参考になる」

その2 分類について

 自然について私たちが解明できたことは、まだ多くはありません。鳥の世界は生物の中では比較的研究が進んでいますが、それでも分類さえ定まっていないのが実情です。新たな見解としてシブレイの分類体系もありますが、カイツブリ・チドリ・タカなどがコウノトリの仲間に含まれるなど、これまでの分類とは大きく変わっており、まだ図鑑ではあまり採用されていません。
 今回の増補改訂は高野著作を継承することが目的でもあるので、高野さんが元にした日本鳥学会の日本鳥類目録に基づくことを第一原則とし、『日本鳥類目録改訂第6版(2000年)』(以下目録)に沿うように、目や科、種や亜種の名などを改訂しました。
 前編で「高野図鑑」の優れた点として、基礎的で丁寧な説明とともに種ごとより前に仲間ごとの解説があることを記しました。そこには仲間ごとに世界では何種いるのかが記されているので、今回、最近の数字を記すべく、多くの資料に目を通しました。が、分類に諸説あるので種や亜種についても複数の見解があり、資料ごとにさまざまな種数が掲載されています。そこで、増補版が参考にした『The Howard and Moore Complete Checklist of the Birds of the World』の新しいバージョン(R.Howard and A.Moore,03 )に基づくことにしたのですが、目録と違う分類もありました。例えばキジ科とライチョウ科は右記では一つの科とされていたので、両方の見解を併記。また、日本での種名(和名)さえ図鑑によって違いがあるのが現状なので、これも主なものは併記するよう努めました。


野外識別の限界、種を特定できない例のひとつに、交雑があります。一つの種は遺伝的に独立している、つまり、種が違えば交雑できない、子孫を残せないはずですが、実際には近縁の種間でさまざまな交雑の結果生まれた雑種個体も知られています。交雑については高野さんもツル科で紹介していますが、さらにカモ科やカモメ科でも交雑例に触れるようにしました。

その3 新たに工夫したこと

 知らない鳥を見分けるには、まず「何の仲間か」を考え、次に「自分がよく知っている種との比較によって、大きさや形などの特徴をチェックしながら種を絞っていく」のが近道です。増補改訂版では、初心者向け図鑑『新・山野の鳥』『新・水辺の鳥』の区分を活用し、仲間を探しやすくしました。「高野図鑑」の掲載順のまま、見返しやカラーインデックスを使う工夫をしてあります。水辺の鳥は「水面に多い鳥」「飛んでいることが多い鳥」「水際に多い鳥」、山野の鳥は「スズメ目(小鳥)」「非スズメ目(小鳥以外)」等のように区分しました。


 野鳥識別での混乱や誤認の多くは、普通に見られる種を珍しい種と勘違いするものです。図鑑を作るとき、絶滅種やめったに見られない種など多くを扱えば扱うほどわかりにくく、混乱もしやすくなってしまう側面もあるので、『新・山野の鳥』『新・水辺の鳥』では身近な鳥や仲間を見分ける基本となる種、約30種をもとにして、見る機会が多い307種に絞って掲載しましたが、今回の増補改訂版では、10月号の「教えて? 安西さん」で記したように、555種を扱った増補版を元に、厳選した38種(+近年よく観察されるようになった外来種4種と野生化した家禽3種)を追記しています。
 また原則として、目録順に掲載しているため、めったに見られない種がよく見られる基本種より先に登場する頁も多々あったので、観察頻度の高い種、つまり出会う可能性が高い種にマークを付け、先にチェックできるように工夫しました。


「高野図鑑」は1種ごとの解説が詳しいことも優れた点ですが、外見上の特徴の記載より先に、「声」「習性」「類似種」などを読んだ方がわかりやすい種もいます。そこで、科ごとの解説とともに、それぞれの項目のタイトルを太字にして目につきやすくしました。そのほか、希望が寄せられていた英名やレッドリストについても、主なものがわかるように工夫しました。

その4 修正したこと

 種ごとの生息状況も詳しい「高野図鑑」ですが、発行から20年以上を経てそれらが変化した鳥も少なくありません。そのすべてを修正しました。千葉県でただ1回の記録のみと記されていたメジロガモは「近年は、各地でまれに観察されている」、冬鳥として主に九州地方に渡来と記されていたミヤマガラスは「1980年代から分布が北上し、広い農地があれば全国的に見られるようになった」と増えた種もありますが、一方ではオオヨシゴイ、チゴモズ、シマアオジのように減少について追記せざるを得ない種もありました。
 「高野図鑑」の解説は、生息環境についての記載も詳細です。シギやチドリの仲間は干潟・干拓地・水田・河原・河口などわかりやすい区分で種ごとに適切に記されています。それらを見直した上で、全国で観察を続けている叶内拓哉さんの見解を活かして、コキアシシギの渡来場所やコミミズクの越冬環境として水田を書き足したり、ツバメチドリの繁殖環境に畑を加えるなどしました。近年、人為的環境も野鳥の生息環境として重要になっていることも示したかったのです。
 「何を根拠にどこをどう修正したのか」をここでは書ききれないことをお許しいただきたいのですが、「応用や各論より先に基礎や総論」という方針で基礎的な事柄にもれがないよう配慮しました。例えば、鳥の“かかと”がどこにあるかを知らない人が多いので、体の各部では、“かかと”を示しました。オオクイナの声のように高野さんの解説当時は断定できずに「いわれる」「思われる」と記されていたことで後年確認されたことは言い切るように直しましたし、オオジシギなどの尾羽の枚数やシマクイナの声をはじめ、新たにわかった雌雄や幼鳥の識別点なども吟味し、高野さんの解説を損なうことなく追記するよう努めました。
 図版は微修正を原則としました。英語版で詳細に図版のチェックをしてくれた海外の方から、膨大な指摘の手紙をもらっていたものを田仲謙介さんが翻訳。これをチェックすることから検討を重ね、谷口さんの技術で高野図版を損なわずに修正可能なものは直しました。例えば、カモ類の翼の白線について、コガモのメスは少し太くしました。これはシマアジとの識別上必要と判断したためですが、「ハシビロガモの翼の後縁には白線はない」との指摘については、日本ではあるものもいるので直していません。
これらの修正箇所を確認するために、全国の支部の支部報などの発行物もほとんど目を通させて頂き、さまざまな方のご指導、ご協力を頂きました。この場をお借りして感謝申し上げますとともに、増補改訂版も「高野図鑑」として愛され、使い続けていただけるように願っています。(あんざい・ひであき/当会普及室主任研究員)

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